香りをまとう、その意味。
香水持続時間から探る「私」という表現の哲学
香水は、単なる化粧品ではありません。
それは、あなたの個性、その日の気分、そして誰かに伝えたいメッセージを、言葉にせず表現する**「見えない言語」**です。
「どの香水を選べばいい?」と迷うのは、まさに自分自身と真剣に向き合う証拠。
ここでは、香水の奥深い世界を解き明かし、あなたの人生を豊かに彩る香りの選び方をお届けします。
1. 「持続時間」が示す、香りの本気度:香水4つのタイプ
香水が持つ持続時間は、その香りの「本気度」であり、「賦香率(ふこうりつ)」と呼ばれる香料の濃度によって決まります。この違いを知ることが、TPOに合わせて香りを使いこなす第一歩です。
【EAGGの哲学】
オードトワレを選ぶ理由
私たちのブランド EAGGの香水は、あえて「オードトワレ」のラインナップにこだわっています。
それは、香りが強すぎず、ビジネスシーンからお出かけまで、現代の多様なライフスタイルにデイリーユースしやすい「調和」の香りを目指しているからです。
香りの主張ではなく、あなた自身の魅力を邪魔しない、寄り添う香りを提案したいのです。
2. 香りの系統と持続時間の密なる関係性
香水の持続時間は、濃度だけでなく、使われている香りの特性にも大きく影響されます。
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余談ですが… 香りの世界では、香りの系統をピラミッドに例えることがあります。軽くて揮発しやすいシトラス系が一番上の「トップノート」、香りの中心となるフローラルやスパイス系が「ミドルノート」、そして最後に長く残るウッディやグルマン系が「ラストノート」です。この香りの変化こそが、香水が持つ最大の魅力であり、あなただけの物語を紡いでくれるのです。
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残香性が高い香り(持続時間が長い) ウッディ系の深く落ち着いた香りや、グルマン系のバニラやキャラメルのような甘い香りは、分子が重いため肌に長く留まります。記憶に深く刻み込むような、重厚な香りを求める方に最適です。
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揮発性が高い香り(持続時間が短い) 対照的に、シトラス系のレモンやベルガモットのような爽やかな香りは、分子が軽く揮発性が高いため、最初に強く香ってもすぐに飛びやすいのが特徴です。一瞬の瑞々しい印象を大切にしたい場合は、こまめに付け直しをして、常にフレッシュな香りを保つ工夫が必要です。
3. 香りの持続時間を最大化する「まとい方」の極意
同じ香水でも、付け方一つで香りの立ち方や持続時間は劇的に変わります。
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体温が高い場所で香りを立ち上げる 手首や首筋、耳の後ろなど、体温が高く脈打つ場所は、香りを強く揮発させたい時に最適です。
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衣服で香りを閉じ込める 逆に、衣服で隠れる場所に少量を付けると、香りが緩やかに広がり、持続時間が長くなる傾向があります。
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肌を保湿する 乾燥した肌は香りを吸い込みやすく、香りが早く消えてしまいます。香水を付ける前に無香料の保湿クリームを塗ることで、香りを閉じ込め、持続性を高めることができます。
用途やシーン、そして誰に香りを届けたいかに応じて、使い分けるのが「香りをまとうプロ」の心得です。
EAGG producer
中原 綾乃 / NAKAHARA AYANO
1995 . 5. 20 生まれ
環境デザイン学科プロダクトデザインコースを卒業後、
人材系WEBメディアに就職。
その後、香りのWEBメディアSCENTPEDIAのライターとして活動。
2020年秋、フレグランスブランド「eagg」を始動。